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2025/5/13 ふたりとも減刑されました。

 

拙著「メネンデスブラザーズ事件」最終章のために書いていたものをここに掲載しています。
書籍掲載をとりやめた理由はふたつ

・事態は二転三転し、そのたび物事がややこしくなり…すべての経緯を書いているうちに6000字を超えてしまったから
・そのわりには何も決まっていないから

…で、ございます。

結論が出るまでに年単位の時間がかかる可能性があり、どうやっても本の中でお伝えするのが無理な状況になってしまったので、「続きはWEBで」をやるほかなく…

そんな事情のテキストです。

なので、随時更新します。

最後の更新は、2025年5月15日です。

 

5/14の現状を簡単に言いますと…

5月13日(現地)

ライル、エリックともに仮釈放なしの終身刑から仮釈放ありの終身刑に再判決されました。

35年服役しているふたりは、再判決と同時に仮釈放の資格を得たことになります。

仮釈放審問の日程は未定+カリフォルニアの仮釈放審査は厳しいことで知られていますが、仮釈放申請は一度きりのチャンスではありません。

さらに、これに並行してカリフォルニア州知事ニューサムが恩赦を検討中です。

ふたりは、早ければ2025年中に仮釈放されます。

 

※ライルは57歳、エリックは54歳です

 

釈放を巡る出来事全部

以下ボツ原稿

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兄弟の現在の弁護士マーク・ガラゴスは2023年5月、アンディー宛ての手紙とロイの宣誓供述書を合わせて裁判所に提出し、兄弟の人身保護を請求した。

人身保護を求めるとは、人権に基づき、個人を不適切な場所から移すよう求めるということであり、端的に言えば釈放を求めたということだ。

もしも裁判でアンディーへの手紙が提示され、ロイが証言していたら、陪審は不完全正当防衛を認めて過失致死と評決した可能性がある。
過失致死ならば刑期は最長で11年、兄弟はふたりを殺害しているので22年になる。
ライルとエリックは2023年時点ですでに33年服役しており、過失致死を償うのに充分な期間が経過している。
だとすれば、ふたりが現在も刑務所に収容されているのは人権侵害にあたるという主張である。

請求が通れば、新たな裁判か公聴会が開かれる。
新証拠を含めて事件を再審査し、決定は判事が下す。結果いかんで即時釈放もありえるが、そこまでの道のりは長い。

 

2024年10月。兄弟の親族が裁判所前でスピーチし、ふたりの釈放を求めた。
この嘆願には親族24人が連名している。
兄弟の親族とは、殺されたホセとキティーの親族でもある。
被害者の親族が加害者の釈放を求める珍しいケースで、20人を超える規模の連名とはますます珍しく、大きく報道された。

 

ここから事態は二転三転とする。

 

同じ頃、ロサンジェルス郡検事局長ガスコンが、裁判所にメネンデス兄弟の再判決の推薦状を提出した。

カリフォルニア州の新法によるもので、検事局は、過去のケースの見直しと再判決を裁判所に要請することができる。
ガスコンは、これを使ったのだ。

兄弟の判決は、特殊事情のある第一級殺人であり、その刑罰は死刑か仮釈放なしの終身刑しかない。
裁判所がこれを変更すれば、釈放の可能性が生まれる。

もしも過失致死までダウングレードされた場合には、前述のとおり最長22年の服役となり、即釈放である。

第二級殺人に下がった場合には、最も重い刑は、仮釈放ありの終身刑である。
その場合、仮釈放の資格を得るには50年の服役が必要なのだが、現行法では、受刑者が犯行当時25歳以下だった場合は、25年で仮釈放の資格が得られる。
兄弟はこれに該当する。

 

ガスコンの開いた再判決ルートによって、兄弟の出所が、かなり現実的になった。
ふたりの出席する公聴会は12月11日に決まり、ガラゴス弁護士は「年内の釈放を目指す」と明言していた。

これほど釈放に近づいたことは、これまでなかった。

 

24年10月時点で、釈放へのルートは3つあった。

人身保護、再判決、そして恩赦である。

 

メネンデス事件は州犯罪なので、大統領に恩赦の権限はない。
カリフォルニア州知事にその権限がある。
いつでも出せるものだが、11月のサンクスギビング・デーに発布されることが多い。
ふたりは恩赦の嘆願も提出していたが、2024年秋の恩赦は見送られた。

このルートは塞がり、人身保護と再判決のふたつが残された。

 

2024年11月の大統領選に並行してロサンジェルス郡検事局長の選挙も行われた。
そこでガスコンは再選を逃し、ホックマン新検事局長が誕生する。

就任したホックマンが、「メネンデス兄弟の再判決の推薦を見直す」と発言し、風向きが変わった。

ガスコンの推薦状はすでに提出されており、局長が替わっても有効である。
でも新局長には、正当な理由があればそれを取り下げる権利がある。

 

これを受け、裁判所は公聴会を1月末に延期した。

 

2024年末、兄弟の釈放を支持していた検事2名が、配属を変更された。
ふたりの検事はこの異動を不当としてホックマンを告訴している。

2025年1月、親族の中でひとりだけ釈放に反対しているキティーの兄、ミルトン・アンダーセンの弁護士ケイディーが、ロス検事局の被害者サービス局長に任命された。
ケイディーは、ホックマンの選挙選を支援していて、寄付もしている人物だった。

 

2025年1月、ロスで大規模な山火事が発生し、その影響で公聴会が再び延期された。

新日程は、3月20日、21日である。

 

2025年2月22日、新検事局長ホックマンが突然の会見を開き、裁判所に「人身保護申請は却下するのが妥当である」と通知したと報告した。
弁護側が提出しているふたつの新証拠は、再審の要件を満たしていないというのが理由だった。

アンディーの手紙については、封筒が添付されておらず、消印が確認できないことや、受取人のアンディーが死亡しているため確かめる方法もないことが挙げられ、原本でなくコピーであることも信頼性を損ねると述べた。

また、手紙は2015年に報道番組で取り上げられたことがあり、人身保護申請の2023年までに8年が経過していることになる。
再審を求める新証拠は、発見後速やかに提出されたものであるのが原則である。
ホックマンは、8年の遅延は承服しかねるとも強調した。

 

次にロイ・ロセーロ証言だが、ホックマンは、ロイがホセにレイプされたとしても、それは事件とは無関係と考えている。

「事件のあった1989年には、兄弟はロイに起きたことを知らなかったのだから、もしも本当のことだったとしても、ふたりは何の影響も受けていない」
これがロス検事局長の見解だった。

会見の終わりに記者のひとりが「性的虐待を信じないのですか?」と質問した。
ホックマンの答は、「信じるには証拠が足りない」だった。

事実上、人身保護の道はなくなった。

 

残るは再判決のみかと思われたその3日後、また思いもよらないことが起きる。

カリフォルニア州知事ニューサムが、「ふたりの刑務所内での記録を確認する」と発表したのだ。

人身保護と再判決が進行していた2024年末には恩赦を見送ったニューサムが、状況の変化を見て恩赦の検討に入ったのだった。

ニューサムは、2028年の大統領選に民主党から立候補する可能性が高いと言われている。
だとすれば、今気にかけているのはカリフォルニア州内ではなく全米での評判のほうだ。

恩赦を出せば反釈放派の怒りを買い、出さなければ兄弟を支持する人々を落胆させる。
難しい立場に自ら乗り出した意図はまだ分からない。
ともかく、塞がれていた恩赦ルートがまた開け、釈放への道は、再判決と恩赦の二本になった。

 

2025年3月5日
月の下旬に予定されていた再判決の公聴会が4月に延期されると発表された。

 

3月10日、ホックマンが再び会見を開き、裁判所に対し、ふたりの再判決を却下するよう要請したと発表した。

ライルとエリックは、多くの嘘をつき、それを認めていないので、依然として社会の脅威なのだそうだ。

今にも「性的虐待が嘘だと認めれば出してやる」と言いだしそうな雰囲気だったが、今回は違った。

彼は16項目を挙げ、ふたりがこれらを認めれば再判決を検討してやると言う。

リストにはすでに法廷で認めていることや、検察側証人の嘘としか思えないことが並んでいる。

ホックマンがなぜこの的外れなリストを出したのか不明である。しかし意義はあった。

16項目の中には、プールメンテナンスのグラント・ウォーカーの証言が含まれる。
事件の前日、ライルとエリックは外出していたと話す時刻に、屋敷でふたりを見たと言うあの話である。

確かに、ライルもエリックも認めていない。

ウォーカーは、法廷で反対尋問され、その話がいかに信用できないものであるかを晒されている。

ホックマンはそれを持ち出し、「認めろ」と言う。

なぜ嘘に合わせなければならないのかと、改めて16のリストを見ると、認めていないことのすべてが入っているわけではないことに気づく。

ジェイミーの法廷証言も入っていないのだ。

検察は、ライルのかつての婚約者ジェイミーに、エリックが事件のずっと前からカツラのことを知っていたことや、ライルの依頼で虐待された子が親を殺した事例の資料を差し入れたことを証言させたが、反対尋問で矛盾を突かれ、彼女の証言がおおいに疑わしいものだと暴かれた。

もちろんライルもエリックも、ジェイミーの言う通りでしたとは言っていない。

なぜウォーカーの話は認めろと迫り、ジェイミーの話は伏せるのだろう。

ふたりには明確に異なる点がある。

ウォーカーは、自分から警察に話を持ち込んだが、ジェイミーは、検察のボザニッチに頼まれて証言したという点である。

偽証をした証人が「実はあの時嘘を言いました」と懺悔する可能性はゼロではない。
証人らは全員高齢になっており、死の床の告白すらありえる。

そこで、ウォーカーのように、自らネタ話をぶら下げてやって来た証人ならば、白状されても警察や検察の傷は浅い。
でも、もしも「ボザニッチに言われてゾーラー刑事の作った話をしました」と言われたらどうだろう。

30年という時間は心変わりに充分である。

関わったのがゾーラーだけなら、まだ何とかなる。
ゾーラーはもう死んでいるからだ。
しかしボザニッチとクリヤマはまだ死んでいない。
現行のロス検事局としても、90年代に行われていた不正の責任を死者に押し付けるという技は、まだ使えないのだ。

 

お分かりいただけただろうか。

ホックマンの意味不明な16項目の選定によって、メネンデス法廷で披露された検察側の証人の証言のうち、警察と検察が主導した嘘はどれだったのかが浮かび上がったということである。

2審で突然変わったバーマン証言、当初は9月2日の朝メネンデス邸は無人だったと話していたはずが、ゾーラーの聴取を受けた後の法廷では、エリックが寝室でバスローブ姿の男と一緒にいたと証言したローデンの件なども、兄弟の話と食い違っていながらリストされてはいない。

 

兄弟の親族の弁護士は、この再判決却下要請をホックマンの嘘と偏見に基づく不当なものであると主張する文書を裁判所に提出した。

 

ホックマンが前検事局長の推薦を破棄するよう要請したため、裁判所は改めて再判決の審理を進めるか停止するかを決定しなければならなくなった。

2025年4月11日、そのための公聴会が開かれた。検察はガスコンの推薦の無効化を求めて、事件の話をえんえんと語る。

3時間のプレゼンテーション後、判事のジェシックは、その場で破棄要請を退けると決定した。

既に受理されている推薦を取り消させることができるのは、推薦に法的な不備や不正があった場合だけである。
検事局は事件を彼らの好みのストーリーで語っただけであり、推薦を破棄すべき理由は提示していない。

 

ジェシック判事の決定により、再判決ルートがまだ残されていることが明確になった。
公聴会は4月17日、18日に行われることとなった。

 

ところが…

2日間をあてられていた公聴会は、半日で切り上げられた。

4月17日、検察側が判事に、ふたりのリスクアセスメントを読んでほしいと主張したためだ。

リスクアセスメントは、州知事の指揮のもとに行われたもので、恩赦のためのものである。
一方この公聴会は、再判決審理の一環である。
別の話であるだけでなく、公聴会の関係者がリスクアセスメントの内容を知っているのはおかしいのだが、検察は閲覧済みだった。

ニューサムのリスクアセスメント実行委員の中に、ホックマンの部下でメネンデス再判決に関わる人物がいたために起きた事態だった。

 

弁護側は未閲覧の資料を再判決に持ち込まれるのを容認できず、判事にニューサムとロサンジェルス検事局をこの件から外すよう要求すると宣言した。

これにより、公聴会は中止されたのだった。

弁護チームが望んでいるのは、再判決をロス検事局からカリフォルニア州検事局へ、ロス検事局長ホックマンから州司法長官ボンタへ移管することである。

司法長官ロブ・ボンタは、次のカリフォルニア州知事候補のひとりだ。

これを審議する公聴会は5月中に開かれるが、決定には年単位の時間がかかると言われている。

 

5/10更新分

5月9日の公聴会で、検察側からの再判決差し止め要請と弁護側からのホックマン除外要請の両方が棄却された。

事件の移管の可能性がなくなったため、再判決プロセスに何年もかかる可能性もなくなった。

兄弟の出席する再判決公聴会は、5月13日、14日に予定されている。

 

 

5/14,15更新分

5月13日、14日に予定されていた再判決公聴会は、予定通り開催された。

兄弟のいとこアナマリアは、親族の苦難を、ダイアンは改めてメネンデス家の過酷な状況を、またいとこのタマラは、ふたりの人間的成長を訴えた。

 

獄中でふたりと親友関係になったラッパーのX-Raidedも証言台に座り、

「私は刑務所内でギャングのようなことをしていた。ふたりに出会わなかったら今も釈放されず刑務所にいたでしょう」

と話す。

 

意外な証人も現われた。退官した判事ジョナサン・コルビーだ。

彼は引退後、全米各地の刑務所を訪問してまわっていて、ライルとエリックにも会ったことがあった。

「私がこの件の判事なら、間違いなく減刑するでしょう」

コルビーは、ライルとエリックを見て、凶悪犯罪者は救いようがないという考えを変えたのだと言う。

 

対する検察側は新たな証拠や証人を出さなかった。

 

午後、ライルとエリック自身が、過去の自分に対する反省とこれからの人生の目標を話し、公聴会は終了した。

2日間の予定だった公聴会が1日で終わるのは予想外のことだったが、この日のうちにさらに予想外のことが起きた。

ジェシック判事は、その場でふたりの再判決を決定し、量刑が仮釈放なしの終身刑から仮釈放あり(50年の服役後)の終身刑に変更されたのだ。
延期と中断を繰り返してきた釈放への道のりの中で、即日の判決とはまったく衝撃的だった。

どちらにも軽微な違反はあった。しかし刑務所内での貢献と人間的成長はそれを圧倒していた。

ジェシックは、

「彼らは恐ろしい犯罪を犯しました。でも、社会に帰った彼らがまた犯罪に手を染めると考える証拠はありません」

「再判決に際し、刑務官らから何通かの手紙を受け取りました。ふたりが刑務所内で成し遂げたことに驚嘆しています」

と語った。

 

仮釈放資格を得るまでに50年が必要とされるが、上で説明した通り、ふたりは犯行当時25歳以下だったため、必要期間は25年に短縮される。ふたりはすでに35年服役している。

つまりふたりとも再判決と同時に仮釈放の資格を得た。

実際に釈放されるか否かは、この後の仮釈放審問によって決定される。審問の日程はまだ発表されていない。

カリフォルニアの仮釈放委員会は、全米一厳しいとも言われ、また減刑後最初の申請は棄却されることが多い。

でも仮釈放が見送られる時には、次の仮釈放申請までの期間を提示される。

この期間はケースバイケースで、1年程度のこともあれば10年以上先のこともある。

ともあれ、ライルもエリックも今や仮釈放の有資格者だ。

ふたりはいずれ必ず釈放される。

2025年中の釈放も十分あり得る。

 

5月15日

州知事ニューサムが恩赦の進行を停止すると発表した。

それと同時に6月13日に予定されていた恩赦のための審問を仮釈放審問の扱いにすることも決定した。

6月13日には、兄弟は個別に仮釈放委員と話し、審査される。

6月13日に予定されていた仮釈放審問は、8月21日、22日に延期された。

仮釈放の判断材料となる服役中の記録については、下を読んでほしい。

 

==更新分はここまで

 

仮釈放審問で重要とされるのは再犯の可能性であり、獄中での生活態度が判断の参考にされる。

 

ライルには一切の暴力歴がない。

はじめの刑務所では、どんなに殴られても反撃しないので、一時的に別の囚人と離れた棟に収容されたこともある。
顎の骨を砕かれた時でさえ黙って耐えた。
他は、アディダスの靴やライター、CDを隠し持っているのを見つかったことがあるのと、面会に来た獄中結婚の妻とディープに抱き合いすぎていたことが数回あるくらいだ。

でも、近年(2024年3月)に携帯電話の所持を見つかっており、これが意外に不利に働くこともありえなくはない。

エリックは、1997年と2011年の2回、他の受刑者とケンカしている。
また、2006年に面会女性との性的接触を見とがめられたことがある。女性の手がエリックの股のあたりにあり、腕が前後に動いていたというものだ。
アメリカの刑務所のように、ガラスや金網を隔てずに面会できる形式の場合にはよくあることと想像がつくが、問題はその時、女性の娘がその場にいたという点である。
女性とはエリックが獄中結婚した相手なので、その娘は彼の義理の娘である。
この時10歳前後だったはずだ。
この一件は重大な違反とは記録されていないが、子供の面前での性行為とはショッキングである。

その他、タバコの葉を隠し持っていたことや、処方された薬を飲まなかったことなどがあり、2000年代半ば頃までのレコードは綺麗ではない。

99年に面会女性に暴力的なふるまいをしたとの報告もあるが、弁護人はこれを、事実誤認による報告書がどうしたわけか今になってリークされたものと主張している。
正式な違反記録にこの件が残っていないことから、事実誤認との抗弁が認められていた可能性もあり、この違反は真偽不明である。

この20年ほどは大きな違反はなく、最後は2021年の携帯電話不法所持である。

プラスの評価を得られる要素も多い。

ライルは、2024年6月にカリフォルニア大学の社会学学位を取得し、現在は都市計画のマスターコースを履修中である。

受刑者の委員長でもあり、刑務所環境改善による更生プログラムの責任者でもある。
ノルウェーの刑務所を参考にしたもので、「刑務所内の環境が実社会に似通っていたほうが出所後の再犯率が低い」という研究結果に基づいている。

リチャード・J・ドノヴァン矯正施設の中庭は今、大規模改築中である。プログラムのWebページが公開されている。ページ一番上の写真にライルがいる。下にある鳥のイラストはエリックが描いたものだ。

https://www.greenspace-project.com/meet-the-rtb-team/

エリックは、環境改善プログラムの1プロジェクトである壁画チームのリーダーで、刑務所内のホスピスで働き、瞑想のクラスを持って他の囚人を指導している。

釈放の可能性のない中で意味ある仕事に取り組んだふたりを賞賛する声もあれば、囚人には時間があるのだから、刑務所内の功績はその分を割り引いて評価するべきだという意見もある。

 

 

補足

恩赦/仮釈放についての補足

仮釈放委員会の当日に恩赦が発布される可能性は低い。

州知事には独占的決定権があるが、仮釈放委員会の見解から大きく外れる決定がなされることも、ほとんどない。

 

仮釈放となった場合の補足

ふたりは、個別に審査されるので、揃って出所するとも限らない。
どちらかが釈放され、どちらかは刑務所に残る可能性も理論上はある。

また、仮釈放には様々な行動制限が加えられる。
たとえば、仮釈放者同士の接触は禁止される。
これには特例が認められることがあるので、ふたりはおそらくその申請をするだろう。

終身刑囚の仮釈放なので、さまざまな制限は生涯続くことになるが、一定期間を無違反で過ごすことで少しずつ緩和される見込みはある。